平成23年度 夏山合宿・穂高連峰


                            かっぱ橋より奥穂高岳・吊尾根・前穂高岳を望む 写真は昨年の夏合宿から
 国内の山のうち最も豪快でスリルに富んだ山はこの穂高連峰に比べて他にありませ
ん。今年のメーンイベント夏山合宿を穂高に位置づけたのはその様な訳からです。しか
し、7月の後半は、太平洋高気圧の衰退期になってしまい、湿った南東の風が、日本海
に侵入し、シベリア寒気が入り込み、新潟から南会津に掛けて、連日集中豪雨に見舞わ
れるという山にとっては最悪の状態になってしまいました。そして、長野方面も一時危
ぶまれた状態でした。出発の朝、伊藤駐車場で、名誉会長の老爺心(?)からか、合宿中
止の発言もありましたが、山の会参加者11名一同やる気十分で「行ける所まで、行っ
て見よう」・・・衆議一決。2台の車は出発です。

○第1日  7月30日(土)

 黒羽AM6時出発。野崎伊藤駐車場6時30分集結。曇り空ながら悪化の兆しはない。
黒羽=東北道=北関東道=上信越道=長野道=松本=新島島=沢渡の路順でスタートし
ました。

 北関東道全線開通後初めてのアプローチは、快適かと思いきや上信越道に入って、小
諸付近に差し掛かるとCナビから長野道・更埴JCTと姥捨ICの間で事故発生のニュース
が入ってきました。咄嗟の判断で、上田ICから松本に向かって、一般道に降り、最短距
離を採用。その結果は、遠回りをさせられ、結局長野道は乗らず、上高地線に乗せられ
てしまったのです。従って、「SA梓川」へも寄れず、現地情報も手に入らずで、安曇
野に入ってしまいました。オーバー時間も結構短縮できたので、適当な位置の「R風穴
の里」で昼食をとることができました。

 正午ちょっと過ぎに、湯の花荘に到着。女将が快く迎えに出てくれ、何くれと世話を
焼いてくれ助かりました。予めの手配どおりタクシーで上高地に入り登山の準備完了で
す。

   
     かっぱ橋をいよいよスタートです        いまだ見た事なしの明神池を通過です。
 
          名誉会長による山の解説             徳澤園の名物(?)ソフトクリーム
 
  新村橋                      横尾到着です

 上高地に入った途端、雨が降り出し、濡れる荷を嫌って雨具の着用となりました。記
念撮影後出発。小梨平を通過中、和知顧問より歩行の早さの留意点指導がありました。
明神到着。昨年の「槍」の思い出が蘇ります。徳澤園は、相変わらずのキャンパーが群
れていました。ここで、ソフトクリームを食べて出発。前穂・明神は、ガスが纏わりつ
き雪渓が、雲の中から垂れ下がって凄い形相を見せています。梓川が歩道に迫った左岸
の崖に、思いがけない白山女郎花や千手岩非が群れ、ハッとする所があります。雨は上
がっていますが、何とか横尾まで降らずにもってくれ、ほぼ予定通り到着です。

 
       ハクサンオミナエシ             ヤマホタルブクロ 
 
    ハナチダケサシとヨツバヒヨドリ          センジュガンピ
 
       クガイソウ                タマガワホトトギス
 登山ツアー客の常連宿と、話には聞いていたが、案に乗ぜず、中は総木造の磨きぬか
れた宿舎。下手な旅館顔負けの造りです。2段作りの棚寝床は、他の山小屋と同じです
が、アカ抜けた雰囲気が気に入りました。風呂もあり、従業員の洗練された接客態度は
言う事無しです。

 
         夕食                    朝食     

○第2日 7月31日(日)


                       モルゲンロート 
 
            さー出発です         でもその前に準備体操
 登山客の便宜優先を考慮した最近の山小屋は、早朝の出発が可能になる朝食をセット
してくれてありがたい。横尾山荘もその一つで、AM6時出発。槍沢の吊橋を渡り、横
尾本谷の流れに沿った平坦な草とゴロ石の路を行きます。徳澤あたりから姿を現してい
た千手岩非が付かず離れずの状態です。鶯が鳴きます。駒鳥が鳴きます。目細虫食も負
けていません。彼らの縄張りに無粋な山やが入り込んだ感があります。花や鳥に神経が
奪われているうちに大木翌檜を乗り越して巨岩のわき道に入りました。屏風岩の展望所
です。「屏風岩の説明」をと、CLに言われたが、さながら工事中の巨大ビルが布で覆
われ中が隠されている情景です。しかし、その一部の左端の第1ルンゼ最上のピナクル
が見え隠れして、凄みを見せています。
  
 
      本谷橋                      横尾本谷
 やっと、本谷橋です。立派な吊り橋は、往時を偲ぶものにとって、様変わりの激しさ
に対応できず、戸惑いを感じるばかりです。相変わらず大勢の登山者が休憩の真っ最中
です。我々も大休憩でした。本谷の左岸は、横尾尾根、右岸は屏風岩の末端で両側とも
急峻な岩壁で、岩場の裾は、緑の草斜面、岩に翌檜や、米栂の古木がしがみ付き、その
辺りより上は、ガスが巻いて嶮しさや凄さを一層際出しています。
 いよいよ、登りの急傾斜となり、栂樅・岳樺・七竃の混合林は、丈が低くなり、林の
密度も疎らになってきます。大切戸方面が明るいのは雲の高度が案外低い証拠で、雨の
心配は少ない証拠です。足元に絹笠草が現れ、千手岩非と思っていたやつは紅葉落葉松
の白い細かい花でした。

 
        チングルマ               マイヅルソウ
 
     キヌガサソウ              ミヤマダイコンソウ
 
        アオノツガザクラ            キバナシャクナゲ
 前が開けて、雪渓の末端に出ました。汚れたスプーンカットは下手すると踏み抜く恐
れがあります。しかし、いよいよ穂高の残雪を踏んだか!の感想が大きい。汚れた雪の
溶けかかった場所の岳樺が、早春の趣で芽吹いたばかり。脇に白山一華が印象的です。
直ぐ上は、涸沢ヒュッテの屋根。

 


 涸沢のど真ん中到着です。予定より30分超過ったけど、満足のいく時間です。ま
ず、小屋の展望台を一廻りします。残念ながら円形劇場からスタンドを見上げる雰囲気
ではないけれど涸沢の規模は理解できます。正面、北穂南稜が槍状。北稜はガス。大雪
渓は上部がガスに溶け込み先無し。前穂から北尾根は、濃いガス垂れ込め下がって雨の
予感。

 

 展望テラスで昼食準備。雨がポツリ、屋根付きテーブルに移動する。途端にザーザー
ときたのです。天気を読む先見の明は長年の経験か。ホットしてジーンときました。席
はほぼ満席。時間が早いせいかゆとりある昼飯となったのです。

 今日のメーンは、ザイテングラード登攀です。涸沢小屋道を離れ、雪渓の左ルート
へ。小雪田先の土手状モレーンを乗り越しデカイ雪渓を登るが上部の岩場に夏道が見当
たらない。しかし、他のパーティが先に見えるので、見当をつけたら間違いはなかっ
た。


 

 雪渓を 越えて行く先 花畑     宣代

 夏道がハッキリして、忠実に涸沢小屋路に向かうと、また、雪渓に出てしまったので
す。遥かに上が涸沢岳カールのトラバース道が見え、豆粒の様な登山者が行き来してい
ます。「エッ?あそこまで登んの?」登る。まもなくトラバース道の分岐です。休む間
もなくザイテンへ。涸沢岳カールの横径は今まで見たこと無い(槍沢のとは違う)地形
で、涸沢槍から涸沢ヒュッテまでの大斜面が、何本もの筋になって薙ぎ落ち、近づいて
みると、瓦礫の中に白山一華と信濃金梅が混成していて、灰色と黄色が混じり合って巨
大な筋となっているのです。凄い!



 雪を背に 信濃金梅 風に揺れ    秀雲

 ザイテンは、いきなり岩稜で始まる。巨岩が重なり合い這松がルートを塞ぎ手元に、
苔桃・御前立花・青の栂桜の手掛かりで頼りない。しかも、急斜面の連続です。鎖場で
調整しながら、前穂から屏風までの北尾根を眺める。高度が同じくらいなので、灰色の
岩壁と純白な雪渓、岩壁の下は、灰色の錘崖と鋸歯状岩下の三角雪渓。・・・もう眺め
だしたら切がない。ひたすら上を目指して登るしかない。手掛かり足掛かり、三点確保
を肝に銘じて慎重に身体を擦り上げる。その連続が何時まで続くか、今日の最もハード
な時間を持て余す感じです。ふと見上げた上にポールがある。なんと穂高岳山荘すぐそ
こ。雪渓を左上気味に山荘の庭に到着。PM2時50分。

 バテバテの 岳を廻りのすれ違い 颯爽身せるも過ぎれば又バテ 藤畑 謙

 
        ミヤマオダマキ            ヨツバシオガマ
 
       ハクサニチゲ               シナノキンバイ
 
     ミヤマハハコグサ             
 
        ハクサンフウロ           イワベンケイとハクサンイチゲ
 日曜日と荒天予報のためか、客はそれほどでもなく、ゆっくりの雰囲気です。幸い一
部屋に全員が入れたのでのんびり寛げます。明日の早暁出発に備えて、CL・SLに奥
穂取り付きの梯子場を偵察しておいてもらう。

  
         一応偵察                涸沢岳から穂高岳山荘
  
    実は若者?三人は涸沢岳へ              北穂を望む

           穂高山荘より涸沢カールを望む  赤い屋根は涸沢ヒュッテ

 
         夕食                     いつまでも若者です!!

 穂高嶺で 今も振り向く 笠が岳   藤畑 謙


○第3日 8月1日(月)



 夜明け前出発。何と、山荘前の石垣に人だかり。黎明で目の前に常念岳のシルエッ
ト。人は誰でもその日のご来光を拝みたくなるものです。我々も負けずにカメラを。考
えれば奥穂の上何処からでも拝めるはず。しかし、荘厳な日の出でした。

 
     朝日を浴びて                 おお槍が見えるぞ!
 少しの間ヘッドランプのお世話。梯子・鎖の洗礼を受け、主稜の北側を巻き気味に登
る。北方が、明るく、槍ヶ岳が丸見え。笠ヶ岳は穂先のみ。ジャンダルムが迫って、西
穂は低いが鮮やかな朝日に輝き、アルプス協奏曲が始まっていたのです。

 
        ジャンダルム
 
         今回の目的地 奥穂高岳山頂です      穂高岳山荘特製のホウバスシ
 程なく、奥穂山頂に到着です。約1時間。いつもなら360度の大展望ですが、今は、
悪天候の廻り合わせで、朝にしては、夏雲が出るのが早く、見えるはずのアルプス最奥
の山々、剣立山方面が、足元と同じ高さの雲の中です。ここで、朝飯と記念撮影。名誉
会長の祝詞・般若心経・コーランで〆る。

 吊尾根縦走で前穂に向かいます。一旦かなり下降して足場を固め、鎖場は三点確保で
慎重に降りる。ストックはザックに収め、身軽になって全身を岩場に集中する姿は、ス
ポーツ登山躍如の感です。

 

 ガスが切れ、上高地の砂地が光る。岳沢の谷底は、まるで井戸の底を覗くようです。
吊尾根は長い。岩塊よりも岩のピークの連続です。

 やっと、紀美子平に到着。天気はやや安定して辺りはガスと岩場の混在した藍染模様
です。前穂が初めての人達は一等三角点山頂を往復しました。山頂は、ガスの中。三角
点標柱あるのみ。本来ならば東面の常念・蝶・燕・大天井など、表銀座コースの山々が
目の前のはずです。

 
       前穂高岳山頂              上高地は遥かかなた

 憧れの 前穂奥穂を 登りきる    秀雲

 岳沢に向かって、急下降が始まりました。名にし負う重太郎新道の初下降です。下っ
てもその先が急傾斜。岩にしがみついた這松は、何時も独特の匂いを出して左手にあ
る。未だ奥穂はあそこだ。ジャンダルムはその脇だ。西穂は未だ足の下だ。結局余り高
度が下がっていないのです。ガスが纏わり付く岩場と痩せ細った雪渓の末端。明神岳
が、前方に迫って聳えると、かなり高度も下がってきた感じがします。上高地へ目を使
う余裕も生まれてきます。しかし、ここで気を抜く訳にはいきません。まだ、森林限界
に来ないのです。岳樺や這松の丈が大きくなってきました。西穂の天狗や間ノ岳が此処
より高くなって岳沢ヒュッテの赤が近くなっています。

 
      ウサギギク                ノリウツギ
 
        チシマギキョウ                    グンナイフウロ
 
           コバイケイソウ                    クルマユリ

 奥明神沢の下部で事故があったらしい。岳沢は大きな河原になって雪渓は遥か上部に
残っている。ヒュッテで水の補給をし、一休み。後はひたすら上高地を目指す。路の長
いこと飽き飽きする下降が続きます。平らになって木道が現れてホッとすると、其処は
河童橋でした。
 
       天然クーラー 快適でした        今日の岳沢
 焼岳パーティと待ち合わせは約40分。合流してタクシーで沢渡へ到着。湯の花荘の
温泉でゆっくり。3日間の汗を流して無事帰還の幸せを感じる一瞬でした。乾杯とアル
プス一万尺の敢闘談義で夜も更けました。ゆっくりお休み!エガッタ。

 
    無事帰ってきました河童橋です    
○第4日 8月2日(火)

 朝食をゆっくりとって、帰還の途につきます。「草津廻りで、日本アルプスを最後に
眺めて」の計画も、山は殆ど雲の中で、初期の目的は駄目でした。長野道=上信越道=
草津志賀道・渋峠で休憩=草津(道の駅昼食)=渋川=関越道=北関東道=東北道(上
河内SAで清算)=野崎解散。

お疲れ様でした。                      藤田記
 
    湯の花荘の夕食             志賀草津道路  横手山山頂
    
○記録

・と き 平成23年7月30日〜8月2日

・ところ 北アルプス 奥穂高岳 3,190m

・てんき 7/30 曇のち雨、7/31 曇のち雨、8/1 晴れのち時雨、8/2 曇り

・おあし 会費40,000円

・あ し 伊藤車、荒木車

・おあじ 7/30 昼食(道の駅)、山荘の夕食(横尾山荘)

     7/31 朝食(横尾山荘)、昼食(携帯)、夕食(穂高岳山荘)

     8/1 朝食(お弁当)、昼食(携帯)、夕食(湯の花荘)

     8/2 朝食(湯の花荘)、昼食(草津道の駅)、清算(上河内SA)

○参加者 伊藤(CL)、荒木(SL)、藤田(報告)、和知、高木(撮影)、佐藤
(会計)、大金(会計)、伊藤(撮影)、大野(記録)、 焼岳P:木村、石戸

○コースタイム
ポイント タイム 備考
7/30
黒羽 06:00 出発
野崎 06:30〜06:45 集合・出発挨拶
矢板IC 07:00
東北道
岩舟JC 08:00
北関東道
藤岡JC 08:10
甘楽 08:25〜08:40
上田・菅平IC 09:00 大雨、高速降りる
R254
風穴道の駅 10:50
R158
沢渡 湯の花荘到着 12:10〜12:35 登山荷物の分配
上高地BTへ 12:55〜13:15
ジャンボタクシー
横尾へ出発 13:15
明神 14:10〜14:20 休憩
徳澤 15:15〜15:30 休憩
横尾山荘着 16:30
夕食 17:30
就寝 19:00
7/31
横尾山荘出発 06:30
記念写真
本谷橋 07:40〜07:50 休憩
涸沢横尾出合い 08:20〜08:25 休憩
P2,060m 09:05〜09:10 休憩
涸沢ヒュッテ 09:50〜11:00 昼食 記念写真
涸沢小屋ヒュッテ出合い 12:10〜12:20 休憩
ザイテングラード 1/3 13:35〜13:40 休憩
ザイテングラード 2/3 14:00〜14:10 休憩
穂高岳山荘着 14:50 到着
夕食 17:30
8/1
穂高岳山荘 05:00 出発 記念写真
奥穂高岳 06:00〜06:30 朝食 記念写真
吊尾根1 07:30〜07:35 休憩
吊尾根2 08:25〜08:30 休憩
紀美子平 08:45 休憩
前穂高岳 08:45〜10:05 登頂
岳沢下る 10:15
重太郎新道
岳沢パノラマ 11:10〜11:20 休憩 P2,680m
昼食 12:10〜12:40
岳沢ヒュッテ 14:00〜14:15
河童橋 16:55 到着 記念写真
待ち合わせ 17:00〜17:40
上高地BT 17:50 出発
沢渡 湯の花荘 18:20 到着
夕食 19:30
8/2
湯の花荘 08:00 出発
志賀高原
群馬 草津の道の駅 11:50〜12:20 昼食
駒嵜SA 13:50〜14:05 休憩
渋川IC 14:15
北関東道
岩舟 14:45
東北道
上河内SA 15:40〜15:55 清算
野崎 16:00〜16:15 挨拶

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